定年後
楠木新氏の「定年後 – 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 」が非常に好評で、すでに20万部以上売れている。
最近は、著者監修のコミック版も登場した。
本件を話題にした週刊誌の記事も多いし、講演も多く行われている。
会社勤めをしている人にとって、必ず訪れるのが定年退職。定年後を扱った書籍は多々あるが、この著作が注目されているのは、従来定年後のお金の問題、健康の問題を取り上げられていることが多かったものの、ここでは、「孤独」を前面に出していることが特徴的だといえる。
生活のほとんどが会社だけで、会社以外の生活をほとんどもっていない人は、けっこう多く、退職してみると、最初少しは解放感に浸るものの、すぐに、居場所がないことに気づく。自分の名前を呼ばれるのは、病院だけ。最近は、プライバシー保護のため、番号で呼ぶところも多いので、本当に自分の名前を忘れてしまうような状況に陥る。逆に家族は、ぞれぞれの社会生活があって、そのなかに毎日が日曜日のような人間がはいってしまうと、粗大ごみ化してしまう。だから、会社に行かなくてもいいのに、家にい辛く、図書館だとか、コーヒーショップなんかに通う、ということになってしまう。
著者は、50代に会社を長期休むことになり、このことを実際に体験している。その経験をもとに、いろいろインタビューをしたりして、本にまとめている。
私は、著者とは同世代だが、まだすこし会社員生活は残っている。私の父親は、2つ目の職場を退職したあと、60歳ちょっと前に毎日が日曜日という期間が1年くらいあった。その間、自由ではあるのだが、気が張らなくなり問題を感じ、その年になって、運転免許取得に挑戦、6か月いっぱいつかって、免許証を取得した。やはり、それまで、毎日仕事をしていた人が、短期の休暇ならともかく、ずっと仕事がないという状態は、やはり未経験の領域で、どうやっていいかわからない、というのもたしかにそうなのであろう。
楠木氏の著作で気づかされた点もふくめ、いろいろ書いてみたいと思う。
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